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2023年に発覚した労働組合での不正行為(横領等)

残念なことに2023年も労働組合において横領等の不正行為がいくつも発覚してマスコミでも報道されています。マスコミ報道からいくつか横領事案の概要を見ていきたいと思います。

Ⅰ.マックスバリュ(MV)東海労働組合関連

 マックスバリュ(MV)東海労働組合では、下記の2件を含めて幹部3人が組合費を着服したとして2021年から23年の間に相次いで解任されています。

1.元常任顧問が組費4600万円着服

 食品スーパー「マックスバリュ(MV)東海」(浜松市東区)の労働組合で常任顧問を務めていた女性が少なくとも約4600万円の組合資金を着服した疑いがあることが発覚。組合は、女性に約5千万円の損害賠償を求める訴訟を2月17日静岡地裁浜松支部に起こした。

 元常任顧問の女性は2018年~19年ごろ、組合に帰属する資金を複数回にわたって口座から引き出し、消失させたとしている。組合の一般会計に計上されない四つの口座を使い分け、有価証券の配当金や、組合オリジナルグッズの売上金などを引き出したとされる。

 訴状では「執行委員長や常任顧問を務め、組合の運営のために使用すべき資金であることは認識していたはず」と指摘している。

 女性は同社の前身のヤオハン時代から組合活動に従事。00年に組合トップの中央執行委員長に就いた。14年に同執行委員長を退任した後も常任顧問として組織に残り、組合の財政を掌握していたとみられる。21年2月に別の会計不正発覚を受けて懲戒解雇され、組合役員を退任した。その後の調査で今回の不正事案が発覚したという。

(静岡新聞による)

2.委員長代行が組合費4700万円余を着服

イオングループ労働組合連合会(以下、「当労連」という。)の元副会長(元マックスバリュ東海MYユニオン(以下、「ユニオン」という。)の中央執行委員長代行を兼務)が労働組合業務で不正会計処理を行い、組合費を着服していたことが判明。 

元副会長は、主に当労連の業務での出張時、交通費や宿泊費等を20年余りにわたり主にユニオンへ二重請求や架空請求を行い、組合費を着服していた。被害総額は4759万7928円に及ぶ。

上記の行為について元副会長は事実を認め、当労連とユニオンでは既に元副会長の処分を決定。

組合では、2019年に顧問を務めていた女性が組合費を着服していたことが明らかになり、その後の調査で今回の事案が発覚した。

調査に対し元副会長は着服を認め、「遊興費にあてていた」と話している。

(当労連の7月27日発表資料、NHK報道より)

3.不正はどのように起こったか~会計チェック機能せず

背景には、組合費の会計や経費精算に対する第三者のチェック態勢が機能していなかったことがあるようです。以下は2023.8.8静岡新聞の記事です。

発覚の発端は20年末に行った内部の会計監査。同ユニオンは前年に旧MV東海と旧MV中部(名古屋市)の合併に伴い、それぞれの労組が統合して誕生し、会計の方法などについて見直しを進めていた。その中で、当時のユニオン常任顧問の女性と中央執行委員長の男性の2人が同一の経費を複数回計上するなどして、数十万円を着服していたことが分かった。  組合員から「他にも不正がある」との指摘を受けて調査を継続。21年、元常任顧問の女性が、ユニオンが保有する有価証券の配当金を帳簿外の口座に振り込ませる手口で4607万円を着服した疑いが浮上。さらに別の幹部である中央執行委員長代行の男性が23年2月まで約20年間にわたり、出張費の二重請求などで4759万円を着服していたことも明らかになった。  元常任顧問の女性は統合前のMV東海労組時代から中央執行委員長などの幹部を続けていた。「組合の財政を一身に掌握していた」(同ユニオン)とされ、一般会計に計上されない形で、有価証券の配当金を引き出していたとされる。元常任顧問は「口座から引き出したことは事実だが、組合活動に使った」などと主張しているという。  元中央執行委員長代行の男性はMV中部労組の出身で、上部団体であるイオングループ労働組合連合会(労連)の副会長も務めるなど要職にいた。労連に関する業務で都内などに出張するたび、交通費や宿泊費などの経費を労連と同ユニオンから両取りする手口だった。同ユニオンによると、労連関連の出張をほぼ一人で担当していたため、不正が見過ごされていたという。

また、組合は再発防止策として組合は以下のような対応をしています。

 MV東海MYユニオンの幹部による着服問題を受けて、同ユニオンは組合費に関するあらゆる会計の問題点を洗い出した上で、第三者によるチェック態勢などを強化した。前中央執行委員長の解任後、2021年4月にトップに就いた角谷公敏委員長は「証拠がある部分については調べ尽くし、膿(うみ)は出し切った。再発防止に全力を注ぐ」と強調した。  元常任顧問が実質1人で担当していた会計業務について、副委員長と専任の担当者の2人を置く態勢に改めた。内部の会計監査の実施回数も年2回から4回に増やした。出張費の二重請求を防止するため、イオングループ労働組合連合会とも連携して経費請求に関する規約の見直しも進める。  角谷委員長は「長期間にわたり不正に気づけなかったことが大きな問題。幹部の入れ替えや、積極的な世代交代なども必要になる」と語った。

Ⅱ.その他の労働組合の事案

1.ニトリ労組の前委員長が組合費1億円超を横領容疑で逮捕される

 警視庁赤羽署は6月30日までに、労働組合費を着服した業務上横領の疑いで、家具・日用品大手ニトリの労組「UAゼンセンニトリ労働組合」前中央執行委員長で、アルバイトのO容疑者(51)を逮捕した。容疑を認めているという。

 同署によると、小野容疑者は2010年に委員長に就任し、組合の印鑑や通帳を管理していた。21年の退任時の会計監査で約1億2800万円の使途不明金が発覚し、労組が告訴した。同署は約10年間にわたって着服し、競輪や競馬などのギャンブルに充てていたとみて調べている。(時事通信など)

2.病院職員らでつくる労働組合から計約663万円を横領したとして逮捕

沖縄県那覇市内の病院職員らでつくる労働組合から計約663万円を横領したとして、業務上横領罪に問われた元組合職員でパートの被告(56)が逮捕、起訴された。

裁判によると、2017年11月~19年4月、組合口座の預金を自身の口座や夫の口座に、50回以上にわたって振り込むなどしたとしている。組合には14~19年の約5年間勤務し、一人で組合の口座管理や経理業務などをしていたという。着服金は海外旅行などの遊興費に使ったとしている。実際の被害額は合計約2100万円になるといい、被告は弁済していく考えを示した。

 被告人質問では「自分で会計をやっていたので、帳尻を合わせれば(いい)と思っていた。まひしてしまっていた。申し訳ない気持ちでいっぱい」などと述べた。

9月11日那覇地裁は、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。

判決理由で、組合の専従職員として2014年6月から経理業務を担った被告が、翌15年中ごろに共済金の着服に手を染めたと指摘。被害額から「実刑を原則とすべき事案」としたが、440万円の被害弁償がされ、起訴されていない被害額(約1400万円)の弁償も含めて毎月10万円を積み立てていることなどから執行猶予が相当とした。

(琉球新報による)

3.村役場の労働組合で会計担当が着服

熊本県西原村役場の労働組合の組合費およそ350万円を着服していたとされるのは30代の男性職員。この男性は2021年10月から2022年10月までの1年間、組合の預金口座から複数回にわたり現金あわせて350万円を不正に引き出していたとみられている。男性は組合の会計を担当していて、組合の聞き取りに対し着服した金は「ギャンブルに使った」などと話している。

(2023.9.7NHKなどによる)

4,名古屋の医療法人、労組元幹部が600万円着服 退職金で弁済

 名古屋市で病院などを運営する「医療法人八誠会」(同市守山区)の労働組合の元執行委員長の男性が、組合費約600万円を着服していたことが分かった。男性は諭旨解雇処分を受け、退職金で着服金を弁済した。(2023.9.5 中日新聞による)

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