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有価証券の時価情報に係る注記 参考資料

はじめに

この記事は有価証券の時価情報に係る注記の続きの記事です。
上記記事をあわせて読むことにより理解が深まります。

本編

有価証券の時価情報に係る注記

1.種類ごとの情報の追加
第8号通知により、有価証券の時価情報に係る注記に「保有する有価証券の種類ごとの情報」が追加

(従来)
時価の変動する有価証券を学校法人が所有する場合には、取得価額による表示だけでは、会計年度末の含み損や含み益があっても、その実態が明らかにならないことから、保有する有価証券の簿価総額あるいは含み損又は含み益に金額的重要性がある場合には、有価証券の時価情報の注記が求められてきた

(追加の背景)
近年の金融商品の多様化や、特にリーマンショック以降の経済状況の大きな変化に伴い、学校法人の資産運用のリスクを一層明確に把握しやすくすることが重要となっているため

(重要性)
注記は新基準第34条第8項に定める「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」のため、「重要性があると認められる場合には記載する」もの

2.具体的な記載方法
(1)総括表
・総括表の注記例は従来の時価情報の注記例(「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」17高私参第1号)「有価証券の時価情報」の表の下に「時価のない有価証券」と「有価証券合計」の欄が加わったもの

・従来は、時価情報を記載しなければならないのは「時価のある有価証券」のみ
・基準改正後の注記例では、「時価のない有価証券」についても当該欄に記載する形
・当該学校法人の有価証券の保有状況全体を把握できる形により明確にした

①「時価のない有価証券」とは
・有価証券のうち、「時価」のないもの

・「時価」とは、公正な評価額を指し、取引を実行するために必要な知識を持つ自発的な独立第三者の当事者が取引を行うと想定した場合の取引価額をいい、金融商品会計基準に定める内容と同様であるとされており、外貨建有価証券の時価については、外貨建の時価に決算時の為替相場により円換算した額による

・「時価のない有価証券」
具体的には、合理的に価額を算定することが困難な非上場株式、私募債等が該当
⇒債券を満期まで所有する意思をもって保有する場合には、会計年度末における評価損益が多額であっても実現する可能性が低いことから、時価情報の注記として満期保有目的の債券を内書きして記載することが望ましいとされており、従来から注記例は内書きの形を例示

②作業的には以下の区分が必要となる。
a)時価がある有価書証券と時価がない有価証券に区分
b)時価がある有価証券については、
時価が貸借対照表計上額を超えるものと超えないものとに区分
c)上記 b)について満期保有目的債券を区分

(2)明細表
・記載例では、債券、株式、投資信託、貸付信託の4種類を明示
・「学校法人の保有する有価証券を種類別に記載することにより、運用リスクを一層明確に開示することを目的としている」ことから、当該有価証券を保有していない場合であっても明細表上その項目の省略不可
・注記の趣旨に鑑みて、この様式にかかわらず、より詳細な種類内容を明細表として記載することを妨げるものではない(実務指針5-2参照)。

(3)記載上の注意点
(現行の学校法人委員会研究報告第16号を参考にした場合)
・有価証券には特定目的の引当資産に含まれる有価証券を含む。
・特定目的引当資産に含まれる預金等については記載を要しない。

(必須ではないが各学校法人の実態に応じて以下のような注記も考えられる)
・有価証券の運用方針
・満期保有目的の債券の評価損益が多額であっても実現する可能性が低い場合にはその旨
・時価の下落率が30%以上50%未満の場合における「著しく低くなった」と判断するための「合理的な基準」

 

3.満期保有目的の債券
(1)満期保有目的の意味
・満期まで所有する意思をもって保有するとは、学校法人が償還期限まで所有するという積極的な意思とその能力に基づいて保有することをいう(研究報告第16号)
・保有期間が漠然と長期であると想定し保有期間をあらかじめ決めていない場合、又は市場金利や為替相場の変動等の将来の不確定要因の発生いかんにより売却が予測される場合には、満期まで所有する意思があるとは認められない
・満期までの資金繰計画などからみて、満期までの継続的な保有が困難と判断される場合には、満期まで所有する能力があるとは認められない
(2)満期保有目的の債券を償還前に売却等した場合
・当初、満期まで所有する意思をもって保有していたが、その一部を償還期限前に売却し、残りについても満期まで所有する意思がない場合には、時価情報の満期保有目的の債券には集計しない
・会計年度末において満期まで所有する意思がない場合、時価情報の満期保有目的の債券には集計しない
・企業会計においては、例えば満期保有目的の債券の売買目的への保有区分の変更によって、評価基準を原価法から時価法へ変更。学校法人会計では評価基準は原価法であるため、保有目的を変更しても評価基準に変更はなく、実態に合わせて注記に正しく集計すればよい

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