私立の高等学校、中学校、小学校、幼稚園では都道府県から経常費補助等の補助金が配布されています。経常費補助を受けている学校法人は公認会計士による監査を義務付けられていますが、公認会計士監査は、計算書類が、学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号)に準拠して、学校法人の当該会計年度の経営の状況及び当該会計年度末現在の財政状態をすべての重要な点において適正に表示しているか否かを監査するものです。つまり、補助金申請や補助金の支出報告が適正に行われているかどうかを監査の直接の目的としているわけではありません。
一方で、この補助金が目的に沿って適正で有効かつ効率的に執行されているか等を各都道府県が監査するのが各都道府県によって行われる財政援助団体等監査です。補助金の適正執行を直接の目的としているため、補助金申請の基礎数値の集計誤り等の指摘が多いのですが、日常の会計処理に役立つ留意点も数多くあります。
今回からこの財政援助団体等監査の指摘事項を紹介していきます。
以下は同一の学校法人で次のような4種類の指摘を受けた事例です。
①1日平均担当教職員数の人数誤り
②予算額を超えての支出
③決算承認
④立替金の処理
【指摘事項】
学校法人A
(1)私立幼稚園管理運営費補助金において、配分額の算定の基礎となる休業日の預かり保育の1日平均担当教職員数が事実と異なって報告されていたことから、補助金10万7,000円が過大となっていた。
(2)予算の執行については、予算額の範囲内で行わなければならないが、補正または流用の手続きを行わずに、予算額を超えて支出しているものがあった。
また、決算について、規定では、会計年度終了後2月以内に評議員会に報告するとともに理事会の承認を得なければならないが、これらが行われていなかった。
さらに、職員による立て替え払いが恒常的に行われ、返済期限を定めることなく年度末にこれ他を短期借入金に振り替える処理をしているが、短期借入金として計算書類に計上しているもので借入期間が1年を超えているものが多額となっていた。
当該案件の中には、前回監査における指導事項と同様案件があり、改善が図られていなかった。
[北海道 平成25年度監査(平成25年度財政的援助団体等監査報告書より)]
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