日本私立学校振興・共済事業団の月報私学2021年1月号 「経営実務Q&A」 について紹介、解説していきます。
Q1は「学生への給付金(オンライン環境整備費として一律5万円)」です。「学生が従来学内で受けられた教育を、場所を変えても受けられるようにするものであるため」、処理科目はすでに本ブログコロナ禍の会計処理(1)でも解説している通り、(大科目)教育研究経費(支出)、(小科目)奨学費支出などが妥当としています。また、計上部門は、学校法人部門に計上する支出に当てはまらないことから、各部門・学部に計上するのが妥当としています。
Q2は「遠隔授業を」行うに当たり、動画配信用ソフトウェアを導入」した場合の会計処理です。このソフトウェア導入により学生等から利用料を徴収するのであればともかく、そうでなければ教教育研究用ソフトウェアですので経費処理となります。A2では「今回の支出は、学生が従来学内で受けられた教育を、場所を変えて受けられるようにするものであるため」、(大科目)教区研究経費(支出)、(小科目)消耗品費(支出)などが考えられるとしています。
Q3は「希望する学生にパソコンを貸与」「パソコンの利用料として学生から半期で1万円徴収する」場合の会計処理です。法人が所有する資産の賃貸による収入として、 (大科目)雑収入、(小科目)施設設備利用料(収入) などが考えられるとしています。
Q4は「経済的に困窮した学生を、学内の図書館でアルバイトとして雇い、賃金を支給」した場合の 会計処理です。 アルバイトとして賃金を支給するのですから学校との雇用関係が生じており、奨学費ではなく人件費となります。 (大科目)人件費(支出)、(小科目)職員人件費(支出)などが妥当としています。アルバイトですので、人件費支出内訳表では細分科目が兼務職員人件費支出になります。
Q5は本ブログ「コロナ禍の会計処理(3)」をご覧ください。
Q6は「大学が地方自治体の休業要請に応じた場合、地方自治体から支援金5万円が交付される」というケースです。支援金の名目のみならず、財源がどこから支出されるかに注視して (大科目)補助金収入/経常費等補助金、(小科目)地方公共団体補助金(収入) などが 妥当としています。なお、知事所轄法人の場合は所轄庁より細かな科目指示がある場合がありますので留意が必要です。
また、少し古くなりますが、月報私学2009年12月号の経営実務Q&Aでは新型インフルエンザにかかる会計処理のQAが3問ほど掲載されています。①新型インフルエンザによる学園祭等にかかるキャンセル料の処理について、②新型インフルエンザによる休校の際にかかる費用の処理について、③新型インフルエンザによって入学選抜試験を複数回実施した際にかかる費用の会計処理について、です。いずれもその内容から「教育研究経費(支出)」処理をして差し支えないというものですが、こちらも参考になると思います。
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