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公益法人の会計監査対象拡大

「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」で、2024年7月5日、ガバナンスの充実に向けて会計監査⼈の設置範囲の拡⼤が提示されました。施行は2025年4月1日を予定しています。この議論は、公益法人の運営の透明性や信頼性を向上させるための重要なテーマとなっています。

背景と目的

公益法人は、社会貢献を目的とする組織であり、多くの場合、寄付や公的支援を受けて活動を行っています。そのため、適切なガバナンス(組織運営の仕組み)が求められており、特に財務の透明性が重要視されています。

近年、公益法人を取り巻く環境が変化しており、より一層の信頼性を確保するために、会計監査人の設置範囲を拡大することが検討されています。これにより、特定の規模や活動内容を持つ公益法人が適切な財務監査を受けることが義務付けられ、社会的信頼をさらに高めることが目的です。

会計監査人の設置範囲の拡大

現行制度では、一定規模以上の公益法人に対して会計監査人の設置が義務付けられていますが、この有識者会議では、ガバナンス強化の一環として、以下のような変更が提案されました。

 現在の基準新しい基準
 次のいずれかを満たす法⼈次のいずれかを満たす法⼈
収益1,000億円以上100億円以上
費⽤・損失1,000億円以上100億円以上
負債50億円以上50億円以上
以下はその内容です。

趣旨・基準設定の考え⽅

現在、収⼊が1,000億円以上の法⼈・費⽤・損失が1,000億円以上の法⼈は数法⼈のみであり、実態と乖離した基準となっていることから、収益及び費⽤・損失について基準を引下げる。
 社会福祉法⼈・学校法⼈が会計監査を必須とする基準を引き下げていること等も踏まえ、必置の範囲を拡⼤する。
  ※社会福祉法⼈(収益30億円、負債60億円)
   学校法⼈(収益10億円、負債20億円)
⇒この記載は「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」の資料によるものです。経常費補助を受ける学校法人は、経常費補助1,000万円未満の免除許可を受けた場合公認会計士監査の対象となります。記載の金額は知事所轄法人のうち私立学校法監査の対象となる法人の金額基準(他に3都道府県以上で教育活動を行っている要件があります)を示しているものと思われます。


 会計監査⼈必置のコストを踏まえ、法律で⼀律に必置とする範囲は⼀定の規模を有する法⼈とする。
   →現在の約190法⼈から約220法⼈が必置となる⾒込み

改正後の公益法⼈の会計の適正性の確保のための措置

 現⾏の取扱いと同様、ガイドラインと合わせて法⼈の実態に合った形で会計処理の適正性が確保されるようにする。
 ※現⾏のガイドラインの記載(5条2号経理的基礎関係)
  収益、費⽤・損失1億円未満の法⼈
   ➡監事のうち1⼈以上に⼀定の経理業務の経験があること
  収益、費⽤・損失1億円以上の法⼈
   ➡外部監査を受ける⼜は監事のうち1名が公認会計⼠若しくは税理⼠の資格保持者であること

 ➡今後のガイドライン制定で引き続き検討

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