企業会計と異なる会計でわかりにくい部分も多い学校会計について科目ごとの解説を作成いたしました。ぜひお役立てください。またさらに詳しく知りたい場合やこちらの書籍や具体的に気になる部分があればメールでお問い合わせください。
資金収支計算書に記載する科目、事業収支計算書に記載する科目、貸借対照表に記載する科目の順で記載しています。なお、必ずしもこれだけを記載するわけではなくあくまで一例ですのでご理解をお願いいたします。
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
学生生徒等納付金収入
手数料収入
寄付金収入
補助金収入
資産売却収入
付随事業・収益事業収入
受取利息・配当金収入
雑収入
借入金等収入
前受金収入
その他の収入
資金収入調整勘定
前年度繰越支払資金
【資金支出】
人件費支出
教育研究経費支出
管理経費支出
借入金等利息支出
借入金等返済支出
施設関係支出
設備関係支出
資産運用支出
その他の支出
予備費
資金支出調整勘定
翌年度繰越支払資金
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
学生生徒等納付金
手数料
寄付金(現物寄付含む)
経常費等補助金
付随事業収入
雑収入
人件費
教育研究経費・管理経費
(減価償却額)
徴収不能額等
【教育活動外収支 事業活動収入・支出】
受取利息・配当金
その他の教育活動外収入
借入金等利息
その他の教育活動外支出
【特別収支 事業活動収入・支出】
基本金組入前当年度収支差額
基本金組入額合計
当年度収支差額
基本金取崩額
翌年度繰越収支差額
◆ 貸借対照表の科目
資産の部
【固定資産】
有形固定資産
特定資産
その他の固定資産
【流動資産】
現金預金
有価証券
前払金
未収入金 など
負債の部
【固定負債】
長期借入金
長期未払金
退職給与引当金 など
【流動負債】
短期借入金
未払金
前受金
預り金
純資産の部
【基本金】
第 1 号基本金
第 2 号基本金
第 3 号基本金
第 4 号基本金
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
学生生徒等納付金収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
学生生徒等納付金収入
授業料、入学金、実験実習料、施設設備費等学生生徒から納入された納付金等の収入です。
手数料収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
手数料収入
入学検定料、証明書発行手数料等です
寄付金収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
寄付金収入
寄贈者から贈与された金銭です。
補助金収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
補助金収入
国や地方公共団体等から交付される補助金です。
資産売却収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
資産売却収入
不動産や有価証券等の売却による収入です。
付随事業・収益事業収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
付随事業・収益事業収入
公開講座、外部機関からの受託事業等の収入です。
受取利息・配当金収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
受取利息・配当金収入
引当特定資産、預貯金等の受取利息や配当金による収入です。
雑収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
雑収入
施設等の利用料や学校法人に帰属する上記の各収入以外の収入です
借入金等収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
借入金等収入
金融機関等から借り入れた資金です。
前受金収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
前受金収入
翌年度分の授業料・施設設備費等が当年度に納入された場合の収入です。
その他の収入
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
その他の収入
積み立ててきた特定資産を取り崩した収入や前会計年度末における未収入金の当該会計年度における収入など、学校法人に帰属する収入以外の収入です。
資金収入調整勘定
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
資金収入調整勘定
収入金額のうち、当該会計期間において、支払資金の収入の行われなかった金額を、マイナスの印を付して記載します。
当該会計年度内に収入金額が確定しているにも拘わらず、当年度末までに収納されなかったもの(期末未収入金)や、前年度末に前受金として計上したもの(前期末前受金)を、この科目により調整します。
前年度繰越支払資金
◆ 資金収支計算書の科目
【資金収入】
前年度繰越支払資金
前年度から繰り越した現金・預金の有り高です。
人件費支出
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
人件費支出
教職員等に支給する本俸、期末手当、各種手当、退職金財団掛金等です
教育研究経費支出
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
教育研究経費支出
教育・研究活動や学生生徒等の学修支援・課外活動支援等に支出する経費です。
管理経費支出
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
管理経費支出
総務・人事・経理業務や学生・生徒募集活動等、教育・研究活動を間接的に支援するために支出する経費です。
借入金等利息支出
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
借入金等利息支出
借入金等に対する支払利息です。
借入金等返済支出
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
借入金等返済支出
借入金等の返済を行った額です。
施設関係支出
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
施設関係支出
土地、建物(附属する電気・給排水・冷暖房・昇降機等の施設設備含む)、構築物、建設仮勘定等の支出です。建設仮勘定は建物や構築物等が完成するまでの支出額で、完成時に当該科目に振替えます。
設備関係支出
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
設備関係支出
教育研究用機器備品・管理用機器備品、図書、車両等の支出です。
資産運用支出
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
資産運用支出
有価証券を購入した場合や各種引当特定資産へ積み立てる支出です。
その他の支出
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
その他の支出
前年度に未払金として計上していたものを当該年度に支払う前期末未払金支払支出や翌年度以降の経費となるものを当年度に支払う前払金支払支出などです。
予備費
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
予備費
予算編成時において予期しない支出に対応するために設けている額です。
資金支出調整勘定
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
資金支出調整勘定
支出金額のうち、当該会計期間において、支払資金の支出の行われなかった金額を、マイナスの印を付して記載します。
当年度内に支払義務が確定しているが、年度末に未払いとなったもの(期末未払金)や、当年度に属する経費を前年度以前に前払いしたもの(前期末前払金)を、この科目により調整します。
翌年度繰越支払資金
◆ 資金収支計算書の科目
【資金支出】
翌年度繰越支払資金
翌年度に繰り越す現金・預金の有り高です。
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
学生生徒等納付金
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
学生生徒等納付金
授業料、入学金、実験実習料、施設設備費等学生生徒から納入された納付金等の収入です。
手数料
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
手数料
入学検定料、証明書発行手数料等です。
寄付金(現物寄付含む)
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
寄付金(現物寄付含む)
施設設備拡充等の目的以外で贈与された金銭及び、金銭以外の物品等の受贈額です。
経常費等補助金
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
経常費等補助金
施設設備拡充等の目的以外で国や地方公共団体から交付される補助金です。
付随事業収入
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
付随事業収入
資金収支の「付随事業・収益事業収入」のうちの収益事業以外の事業収入です。
雑収入(事業)
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
雑収入
施設等の利用料や学校法人に帰属する学生生徒等納付金~付随事業収入以外の教育活動収支の収入です。
人件費
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
人件費
(退職給与引当金繰入額)人件費は、基本的に資金収支と同じですが、退職金支出の代わりに退職給与引当金繰入額を計上します。
退職給与引当金繰入額とは、年度末に在籍する教職員全員の退職金相当額を算出し、一定額を引当金として確保するために必要額を繰り入れるものです。
教育研究経費・管理経費
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
教育研究経費・管理経費
(減価償却額)
教育研究経費・管理経費とも基本的には資金収支と同じですが、減価償却額のように資金の支出を伴わない経費も含まれます。
減価償却額は、時の経過による老朽化等により価値が減少する固定資産について、資産としての価値を減少(減価償却)させ、取得原価を毎年度の事業活動支出に合理的に分配します。
直接、金銭の支出は伴いません。
徴収不能額等
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動収支 事業活動収入・支出】
徴収不能額等
学生生徒等納付金など学生生徒に係る未収入金の徴収不能に備えるための科目です。例えば、個別に見積もった額を基に前年度の引当金計上額との差額を繰り入れます。
【教育活動外収支 事業活動収入・支出】
受取利息・配当金
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動外収支 事業活動収入・支出】
受取利息・配当金
引当特定資産、預貯金等の受取利息や配当金による収入です。
その他の教育活動外収入
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動外収支 事業活動収入・支出】
その他の教育活動外収入
受取利息・配当金以外の教育活動外の収入額です。
借入金等利息
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動外収支 事業活動収入・支出】
借入金等利息
借入金等に対する支払利息です。
その他の教育活動外支出
◆ 事業活動収支計算書の科目
【教育活動外収支 事業活動収入・支出】
その他の教育活動外支出
借入金等利息 以外の教育活動外の支出額です。
【特別収支 事業活動収入・支出】
資産売却差額
◆ 事業活動収支計算書の科目
【特別収支 事業活動収入・支出】
資産売却差額
不動産や有価証券等を売却し、その売却収入が帳簿価額よりも上回っている場合にその差額を計上します。
その他の特別収入
◆ 事業活動収支計算書の科目
【特別収支 事業活動収入・支出】
その他の特別収入
施設設備の拡充等のための寄付金(現物寄付を含む)・補助金や過年度修正額など(前年度以前に計上した収入又は支出の修正額で当年度の収入となるもの)を計上します。
資産処分差額
◆ 事業活動収支計算書の科目
【特別収支 事業活動収入・支出】
資産処分差額
不動産や有価証券等を売却し、その売却収入が帳簿価額よりも下回っている場合にその差額を計上します。また、建物・構築物等の取り壊しや機器備品等を除却処分した場合、処分時点の帳簿残高を処分差額として計上します。
その他の特別支出
◆ 事業活動収支計算書の科目
【特別収支 事業活動収入・支出】
その他の特別支出
災害損失、退職給与引当金特別繰入額、過年度修正額など(前年度以前に計上した収入又は支出の修正額で当年度の支出となるもの)を計上します。
【収支差額等】
基本金組入前当年度収支差額 当該会計年度の「事業活動収入」と「事業活動支出」の差額です。基本金組入額合計 必要な資産を継続的に保持するために維持すべきものとして、当年度組入れた額です。当年度収支差額 「基本金組入前当年度収支差額」から「基本金組入額合計」を控除した額です。前年度繰越収支差額 前会計年度までの収支差額の繰越額です。基本金取崩額 基本金の取崩しの対象となる金額が組入れの対象となる金額を超えた場合の差額です。翌年度繰越収支差額 前年度繰越収支差額と当年度収支差額を加減し、翌年度に繰り越される収支差額です。
基本金組入前当年度収支差額
◆ 事業活動収支計算書の科目
【収支差額等】
基本金組入前当年度収支差額
当該会計年度の「事業活動収入」と「事業活動支出」の差額です。
基本金組入額合計
◆ 事業活動収支計算書の科目
【収支差額等】
基本金組入額合計
必要な資産を継続的に保持するために維持すべきものとして、当年度組入れた額です。
当年度収支差額
◆ 事業活動収支計算書の科目
【収支差額等】
当年度収支差額
「基本金組入前当年度収支差額」から「基本金組入額合計」を控除した額です。
基本金取崩額
◆ 事業活動収支計算書の科目
【収支差額等】
基本金取崩額
基本金の取崩しの対象となる金額が組入れの対象となる金額を超えた場合の差額です。
翌年度繰越収支差額
◆ 事業活動収支計算書の科目
【収支差額等】
翌年度繰越収支差額
前年度繰越収支差額と当年度収支差額を加減し、翌年度に繰り越される収支差額です。
◆ 貸借対照表の科目
資産の部
【固定資産】
◆ 貸借対照表の科目
資産の部
【固定資産】
土地、建物、機器備品、図書等の有形固定資産、退職金の支払や固定資産を取得するために保有する特定資産、貸借対照表日(当該年度末)後 1 年を超える長期で保有する有価証券や翌々年度以降に回収される貸付金等のその他の固定資産です
【流動資産】
◆ 貸借対照表の科目
資産の部
【流動資産】
現金・銀行の各種預金・郵便貯金等や短期(1 年以内)で運用する有価証券、翌年度の費用となる前払金、翌年度の収入となる未収入金などです。
負債の部
【固定負債】
◆ 貸借対照表の科目
負債の部
【固定負債】
返済期日が貸借対照表日(当該年度末)後 1 年を超えて到来する長期借入金や長期未払金、将来において負担すべき退職金を一定の基準で算出した額である退職給与引当金などです。
【流動負債】
◆ 貸借対照表の科目
負債の部
【流動負債】
返済期日が 1 年以内に到来する短期借入金や未払金です。これ以外では、前受金や預り金も流動負債として計上されます。
【流動負債】
◆ 貸借対照表の科目
負債の部
【流動負債】
返済期日が 1 年以内に到来する短期借入金や未払金です。これ以外では、前受金や預り金も流動負債として計上されます。
短期借入金
【基本金】
◆ 貸借対照表の科目
純資産の部
【基本金】
学校法人が教育研究の維持・充実に必要な資産(校地・校舎・機器備品等)を永続的に保持するための金額です。
学校会計では当該年度に事業活動収入のうちから基本金へ組み入れる仕組みになっており、以下の 4 つに分類されます。
第 1 号基本金:施設・設備、規模の拡大及び教育の充実向上の為に取得した固定資産の価格
第 2 号基本金:将来取得する固定資産にあてる金銭その他の資産の額
第 3 号基本金:基金として継続的に保持・運用する金銭その他の資産の額
第 4 号基本金:恒常的に保持すべき資金
【繰越収支差額】
◆ 貸借対照表の科目
【繰越収支差額】
各会計年度の「事業活動収入」から「事業活動支出」を差し引いた額から、さらに当該年度の「基本金組入額」を控除した収支差額の累計額です。各年度の収支差額は、事業活動収支計算書にて計算・表示されますが、貸借対照表においては、その累積額が表示されることとなります。